映画

偽りの世界のたった一つの真実―ボルトとその他もろもろ

 今回は映画「ボルト」を取り上げます。

 

 ワンちゃん版「トゥルーマンショー」って感じの映画ですかね。主人公のボルトはTV番組を真実と思い込まされて、悪の手先に狙われている飼い主の女の子を守る為に絶えず警戒しているのですが、これだとえらくストレスが掛かりそう。

 まあ、映画なのでそこは置いといて、全体的な感想としては楽しめました。ビックリするような展開ではないのですが、手堅く作ってありますね。

 

 面白いディズニー映画はサブキャラクターが立っている事が多いような気がします。ボルトはまさにそのパターン。

 ハムスターのライノ、素晴らしかった。声が良いんですよね。もともとは仮の声優さんを本番でも採用したらしいんですけど、大正解。ライノが主演の映画が有ったら見ても良いかもと言うほど気に入りました。

 他にはハトも可愛かったです。ハリウッドのハトだけすれている辺りが芸が細かい。

 

 最近のディズニー映画はそこそこ面白いので満足しているのですがレミー然りボルト然り、少し地味じゃ有りませんか?こんな物ですかね?

 

  少ししか書いていないのに早くもネタが切れたので、最近見た映画の感想を一言ずつ。

「ダメジン」 評判はあんまりなようですが、三木作品の中では「転々」と並んで好き。初監督作品だけあって勢いがあって良い。でもタイトルはイマイチだと思います。

・「インスタント沼」 突き抜けはしませんでしたが、楽しめました。ありえない事を信じられない人生はつまらない。蛇口はひねらなければ、ですね。   

・「オトナ リ」 練馬区の石神井公園が出てた。その石神井公園での麻生久美子と岡田義徳の演技に感心。前者は警戒心を持ちつつも話に夢中になっている感じがよく出ていたし、後者は急に自信たっぷりに話すなぁと思ったら、後ほど理由が判明。そこまで考えて演出や演技ってするんですね。

・「やまのあなた」 人によっては退屈に感じるでしょうが、嫌いじゃないです。按摩さん達の飄々とした感じが良かったです。現代に置き換えるとこの雰囲気は出にくいかも。マイコもキレイに写っていました。オリジナルと見比べるべきなのでしょうが、そんなパワーが出るかな?それにしても石井監督が次に何を撮るのか楽しみ。

 

 

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動物虐待はダメ!―アヒルと鴨のコインロッカー

 GW中は沢山のご利用ありがとうごさまいました。練馬区、中野区、板橋区、杉並区と隈なく回りましたが、お蔭さまで無事終えることが出来ました。
 また、天気が良かったのも有り難かったです。でも、ずっと外に居たのですっかり日焼けてしまいました。


 さて、今回は動物虐待はダメ!という事で映画「アヒルと鴨のコインロッカー」を取り上げます。
 原作者は人気作家伊坂幸太郎。原作は未読ですが、伊坂作品なら謎めいた序盤から中盤、終盤でこれでもかと伏線が回収される展開だろうと、あたりをつけて見ていたら、まさにその通り。


 この映画を見ている最中、常に原作の方が面白いだろうなという思いが頭からはなれなかったのは、こちらの理解力が足りないせいも有るのだろうが(アヒルと鴨が何の比喩かすぐに分からないのだから、足りないのは間違いない)、話のポイント、ポイントが上手く一致していないせいもあるでは。

 

 作品のテーマである差別、動物虐待問題は唐突に感じられ、主人公濱田岳の成長へとつながっているとは思えない。

 他にも今の若者がボブデュランをそんなに崇めるかなとか、ヒロイン関めぐみの虐待犯のへ対応も理解できない。警察に通報すればいいのに。ラストの主人公の素っ気なさもなんだか。
 ペットショップの店長大塚寧々と留学生瑛太にもっと主人公が引っぱり回されたほうが面白かったのでは。

 話の語り口や構造で見せるのも良いけど、物語自体の強い力で引きつける作品が個人的には好みです。調理方法も大切だけど、素材が良くないと。


 濱田君の演技は良かったですね。以前池袋のPARCOで彼らしき人を見かけたのですが、本人だったのだろうか?似てる人って沢山いそう。その似ている人が沢山いそうなのが彼の魅力のでしょうけど。


  ところでラストシーンで 瑛太は車に引かれたのでしょうか?ロッカーに神様を閉じ込めて、犯罪を見て見ぬふりをして貰うのなら、善行をしても加護は期待出来ないのではないでしょうか。


 鴨とアヒル~に対してやたら偉そうにしてますけど、この後見た映画が「恋するマドリ」なのは秘密です。

 

 


 

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世界的ヒット作「アバター」を見てみた

 今朝の雪は粒が大きくて立派でした。手のひらに落ちてくる雪をよく見ると結晶の形が確認できる程。

改めて、雪の結晶の精緻さに驚かされました。不器用な自分が作ったらこうはならないだろうなと。

 でも、我ままを言わせて貰えばペットシッター中は止んでで欲しいです。

 

 さて、日曜日に話題のアバターを豊島園のユナイテッドシネマで見てきました。

映画好きですが、普段は和洋問わず大作は見ないので、そんな捻くれた態度はマズイと、知人が誘ってくれ、観覧の運びとなりました。

 実は今回が初シネコン。ロビーのだった広さとロビーの一杯に広がる甘い匂いが印象的でした。非3D、レイトショーの為か、入りはイマイチ。

 

 感想はといえば、初めの十数分は普通に映像と音響に引き込まれてしまいました。ヤバイ。楽しいかもと焦ったのですが、主人公・ジェイクとヒロイン・ネイティリの出会いのシーン以降から紗に構えて見だして、最後までそのままに。

 やっぱ三時間は長い。観客を飽きさせないためなのでしょうが、色んなことをしすぎて掘り下げ不足の印象を受けました。もう少し丁寧に作って欲しい所です。まあ、アラを見つけて楽しむという意味では最適な映画とも言えますが。大佐のキャラクターの立ち方は凄かったですから。

 映像は普通に気持ちよかったです。

 

 まとめ

・やっぱ大作はパスかな。

・なんで、アレだけ強い大佐がパンドラ初日で大怪我を負ったの?ベネズエラの方が大変じゃない?

・シネコンは甘いにおいがする。

以上

宇宙人の視点―「ハックル」

  前回からかなり間隔が空いての更新となってしまいました。今回は映画「ハックル」をご紹介します。

 この映画、ハンガリーの映画学校生の卒業作品で出来の良さが評判を呼びアレヨアレヨという間に世界各国で公開されるという痛快なサイドストーリーを持っているそうです。

 確かに学生らしいスゲーのを一発撮ってやろうという熱い意欲に満ちていながら、高い完成度を誇る作品で評論家受けが良いのも納得です。


あらすじ とある田舎の村に住むおじいさんのシャックリが止まらなくなっていました。
おじいさんのシャックリは豚が交尾する最中も、村の男達が次々となぞの死を遂げても、戦闘機が村を飛び回っても止まらず、ヒック、ヒックと村中に響き渡ります。

 

 なんの変哲もない片田舎の村は小世界、世界の縮図として描かれています。そこでは生き物は生きるために他の生物を殺して食べてる。それは人間とて例外ではない。

 そして、何故か村の女性達は総じて自分の伴侶を毒殺をする。もしくは殺そうと毒薬を隠し持っている。人間だけは必要も無く殺しを行うという意味が込められているのか?いないのか?定かではないが、村の男性達は何処かで殺される運命を分かっているよう。

 その諦観は何処から来るのでしょうか?不思議と村の男達には諦めとも悟りともつかないような表情を浮かべているように見受けられます。

 

 この作品の特筆すべき点は、撮る対象に対する距離感の特異さです。カメラが映すのは人間、人間以外の生物、工場のミシンや車のトランクの鍵穴等の機械や工業製品の三つに分けることが出来ます。

 普通でしたら、人間側から他の二つを撮りそうなものですが、三つの内、どれかに寄らずにどれにも等しい距離感で撮っています。例えば村人が死にかけてるのにカメラはテンで違う所を撮っていたり、意味も無く車のトランクの鍵穴をクローズアップする。
 これにより観客は今まで経験したことが無い、まるで地球に降り立った宇宙人(←この表現は評論家の受け売りです。)のような視点で映画を見ることが出来ます。宇宙人にとって人間と車のトランクの鍵穴は同程度の興味を引く存在ですから。
  こんな経験は映画を見ていて初めですし、映画(映像)というメディアだからこそ出来ることでしょう。

 ハックルとはハンガリー語でしゃっくりの事だそうで、「ハックル」と日本語の「しゃっくり」の響きが似ているところが何だか面白いのですが、映画の中で何がおこっても鳴り続けるシャックリとは戦争に環境破壊、人間が何をしても地球は周り続けていることを表しているのかなあと。

 

コンセプトは刺激的ですが、映画全体の印象は如何にもヨーロッパなタンタンとした作品で、台詞も殆どありませんのでバッチリ目が覚めている時にご覧になると良いかと。

なんだかんだで好きなのかも―「めがね」

 今回は久しぶりに映画で。とりあげるのは「めがね」です。

  この監督の作品は劇場公開作品4本中、今作を含めて3本見ていまして。では大ファンかと言えばさにあらず。たまたま劇場用長編デビュー作「バーバー吉野」見て以来、今後の作風がどう変化していくのかに興味が沸き、他の作品も見るようになったのです。

 では「バーバー吉野」が好感触だったのかと言えば、またまたさにあらず。吉野刈りのネーミングの良さと冒頭の合唱シーンは認めるものの、ストーリー、キャラクター造詣の凡庸さ陳腐さについつい「雰囲気だけ。景色やもたいまさこの演技に頼りきりで工夫が無い。二度と映画をとらなくていい」と腹を立ててしまったのです。当時、何か嫌なことでもあったのかもしれません。

 

 と、プリプリしていたのですが、「かもめ食堂」が好評なので、気になってしまいついついチェック。「バーバー吉野」で見せた雰囲気のある映像だけに特化した映画で、この路線で攻めるのかと納得。確かにヘルシンキの景色は綺麗だし、食事も美味そうに撮れている。キャスティングも絶妙。もたいまさこ、片桐はいりの存在感はいつものことながら、程良くきれいな小林聡美は嫌味がなく女性受けしそう。

 「でもやっぱし話に厚みが無いんだよなあ」と、不満を感じました。(厚みを出す気が無いのは承知しているけど。)

 で、ここまで見続けたら「めがね」も見るしかないと覚悟を決めてDVDを借りました。

 

  あらすじ 携帯の通じない場所へと行きたくなったタエコ(小林聡美)は、とある南の島へとむかう。そこは、民宿の主人(光石研)をはじめ、カキ氷屋のサクラ(もたいまさこ)、高校教師のハルナ(市川実日子)達が「たそがれて」過ごす、ゆったりとした時間の流れる島だった。

 当初、彼らとリズムの合わないタエコだったが、豊かな自然に心が解きほぐれされるかのようになじんでいく・・・

 

 感想を単刀直入に言うと今までの作品の中では一番楽しめました。雰囲気優先なのは荻上作品の特徴だから置いといて。全体的な間やリズムが良かったし(今までと比べて)、登場人物に血肉が通っていたし(今までと比べて)、笑えるシーンも増えたし(今までと比べて)、なんか基礎体力がついた感じです。(ここまで読み返して見ると凄くえらそうですね。でも悪気は無いんで。)

 印象に残ったのは犬のコージの演技?ですかね。なにせ出てくるタイミングがいい。演出なのか、好きなように歩かせているのか、分かりませんがこの映画の力の入ってない感をUPさせていました。

 もう一つ演技で言えば、光石研が光っていました。お弁当を作っている様子は光石研が演技をしているのではなく、民宿の主人という人間がそこに実在しているかのようでした。

 

  薬師丸ひろこ演じる農作業命のホテルのオーナーと出会うシーンも印象に残りました。私が勝手にイメージしている荻上直子監督のファン層は*なので、農作業を茶化すとは意外というか、根性があると言うか。

*20代以上の女性

好きなもの 雑貨、カメラ、、旅行(憧れていてもひんぱんには行かない)、散歩(こっちはよくする)

好きな雑誌 ソトコト、 天然生活、ku:nel 

イデオロギー エコ ロハス スローライフ スローフード 

(偏見なのですが、そんな気がしません?)

 薬師丸ひろ子ではなく室井滋(「やっぱり猫が好き」)を使ってあげれば良かったのに。なんか仲間外れみたいでカワイソウじゃん。とか思いながら見ていました。

 

 なんやかんや言って今作はそれなりに楽しめたし、きっと次回作も見るのではないでしょうか。今度はタイが舞台だそうで。どおりで「Pasco超熟食パン」のCMがアジアンチックな訳だ。

 と思ったら監督が違った。小林聡美、もたいまさこ、加瀬亮が出るのにまぎらわしい。

 

 

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評論家の矜持ーレミーのおいしいレストラン

 今回は厨房の嫌われ者ネズミがシェフとして活躍する映画「レミーのおいしいレストラン」を取り上げます。

 

 [あらすじ] 天才的な舌を持ちながら、残飯を漁る生活に不満をもっていたネズミのレミーが頼りない見習いシェフのリングニと組んで一流シェフを目指す。

 

 他のピクサー作品同様、技術の高い映像と肩の凝らないストーリーで楽しませてくれる佳作です。

 アニメに必要以上のリアルさを求めない私にしてみれば、エンドクレジットのタッチの違うアニメーションが本編よりレトロで好み。でも、あのタッチで本編を撮ったら地味になってしまうでしょうけど。

 

 厨房の細かく描写するシーンやカーチェイスシーンは高い技術力を見せ付けられている気がして、嫌味に感じないことも無いのですが、ずぶ濡れになったリングイニの痩せた体にピッタとTシャツを張りつけさせて、リングイニの頼りなさを表現する辺りはさすが。

 具象を突き詰めてキャラクターの内面を描ききっているのを見せられると文句も出なくなります。

 

 本作品見た後に「ハウルの動く城」をみたのですが、完成度の高さがあまりにも違うので驚きました。レミーは作品を観客の手の届く位置におき、その魅力をわかりやすく伝える事に重点が置かれているのに対し、ハウルを国家という大きな勢力が好ましくない事態(ハウルの場合は戦争)を一個人に強いてきた時にどう抗するかという、感情移入が難しいテーマ。

 大きいテーマに取り組んでいて、その壮大な心意気や良しとしてあげたいのですが、広げた風呂敷を畳めずに観客を置き去りにしたラストで、唖然。

 もう少しピクサー社を見習えと言いたくなりました。

 

 さて、本作品のハイライトはなんと言っても敵役の評論家グスコーが出された料理を作ったのがネズミと知り、「誰が作ろうと美味しいものは美味しい。新しく出現した才能が世にでるに助けを必要とするなら手を貸すのが評論家の役目だ。」(という内容。うろ覚えですけど)と自らの評論家生命を賭けてレミーを褒め称えたシーン。

 評論家生命を賭ける。大袈裟ではない。だってネズミの作った料理を美味しいというのだから。

 評論は実際作るより楽とグスコーは語るが、上の独白は、評論することに命を捧げている人間だけが持ち得る美しい矜持の表明。

 どんなバックグラウンドも入り込む余地はない。只、作品をそこに素晴らしい作品さえあれば。
良いものは良いと言うことがどんなに難しいか。立場の有る人間なら、なおさらでしょう。


 本作品には「誰でも天才料理人」という決めゼリフが出てきます。レミーはこのセリフを信じ、精進して料理人として成功を収めます。
 しかし、本作品で料理の味を最終的に決めることを許されているのはレミーのみ、リングイネも料理人であるその彼女にも決定権は与えられていません。

 味を決めてよいのは天才レミーのみで他の者は補佐しか許されないという実力主義が支配するのが厨房の掟。

 誰でも天才料理人ではなく、誰もが何かしらの役割があるというのがこの作品の言い分。

 つまり、グスコーには評論の才能、リングイ二は料理人ではなく、ウェーターとしての才能があったと。

 しかし、直接調理に係わっていない彼らも美味しい料理を提供することに関しては、大いに係わっている訳で、この一筋縄ではいかないヒネッた味付けも魅力的です。


  

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狸 よいやっさ! 自然保護 大変だぁ―「平成狸合戦ぽんぽこ」

 昨日、お散歩をしているとワンちゃんが急に立ち止まりました。

「ん?」視線の先を追うと狸でした。ワンちゃんと狸と私が見つめあうこと5秒。サッと狸が逃げていきました。

 ここは杉並区。練馬区のお客様の庭に狸が出た話や我が家の周りで狸を目撃したことがあります。

 帰宅後、「都内の狸」について興味が湧いてきたのでネットで検索してみると、「平成天皇が皇居内に生息する狸の調査を論文にまとめて発表」なんて面白いニュースもありました。なんでも自ら狸のフンを採取、分析したそうで。なんと恐れ多い。

 

 都内に生息する狸を扱った映画といえば「平成狸合戦ぽんぽこ」

 ジブリ作品の中ではとりわけ人気が低いようです。私は結構好きですけどね。よいやっさ!。まあ、見たのがかなり前で、ざっくりとした印象しか持っていないので擁護も出来ませんし、忘れてしまったのでここでは内容にも触れませんが。(我ながらすごくいい加減。)

 昨日の狸が映画を連想させてふと「あーそう言えば、ぽんぽんこ見たなあ。」と思い出した次第です。

 ぽんぽこのラストはゴルフ場でしたが、最近、ゴルフが流行ってますね。一方、エコもブーム。10年以上前だったらゴルフと言えば自然破壊の代名詞でゴルフとエコの二つが並び立つなんてあり得なかったのですが、今は「緑豊かな環境でプレー」とクリーンなイメージがありそうです。

 ここで皮肉を書きたい訳ではなくて、かように価値観は変化していくのだなと面白く感じました。

 

 環境問題って難しいですよね。そもそも快適な暮らしが出来るのは、自然を切り開いていったからで、快適な暮らしと自然保護を両立させようとすると、どうしても矛盾が出てきます。自然保護という概念さえ人間の都合。

 その矛盾を解決する手立ては私には思いつかないですが、かと言って「人間なんて矛盾の塊さ」と冷笑的な態度をとるも嫌ですし。

 となると矛盾を意識しつつ、少しでも良い方向に進めるように考え続けるしかないのでしょうね。

 んー大変だぁ。

 

 

B00005R5J8 平成狸合戦ぽんぽこ
高畑勲
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2002-12-18

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モノ>思い出じゃなくて、モノ=思い出―「僕の大事なコレクション

 今回、とりあげるのは部屋中をコレクションで一杯にして寝る場所が無くなったり、家族の理解を得られず肩身の狭い思いしているコレクター達を強烈に援護射撃する映画「僕の大事なコレクション」です。モチロン、ワンちゃんも登場します。その名もサミーディヴスJrJr。 Candy Man~♪

 コレクションとは無機質なモノを集める行為ではありません。コレクターはそのモノが辿って来た歴史、込められた想いや思い出を集めているのです。コレクションが如何にロマンチックであるかをこの映画は教えてくれます。

 

  あらすじ アメリカ在住のユダヤ系アメリカ人の主人公(イライジャ・ウッド)は家族にまつわるアイテムを集める変なコレクター。兄の使用済みコンドームとか。祖母の入れ歯とか。

 そんな主人公が祖父の生まれ育ったウクライナにルーツ探しへと。旅のお供は現地ガイドのアメリカ好きの若者(ユージン・ハッツ)にユダヤ人嫌いの祖父。祖父は車の運転が出来る盲人。つまり目が見えないのは嘘。それと人に吠えかかる盲導犬のワンちゃん。

 

 一見するとよくある自分探しのロードムービー。前半はコメディタッチも途中から主人公と若者のルーツ、祖父の過去が絡み合いシリアスな展開へと話は進みます。

 今作がデビュー作の監督は手際よくストーリーのトーンを変えて行きます。イライジャ・ウッドのルーツ探しがいつの間にやらユージンのルーツへと及ぶ様はお見事。

 またキャステンィグも絶妙で、ナードな役柄が嵌っているイライジャも良かったのですが、アメリカ好きの若者を演じたユージンはイライジャを喰う勢いでした。この人、本職はミージシャンだそうですが、生意気だけど心優しく、間抜けが故に時に鋭い発言をする若者を好演していました。そうそう劇中に流れるジプシー風音楽も軽快で特に前半の雰囲気とマッチしていました。

 何より印象に残ったのはひまわり畑のシーン。緩やかな風に揺れるひまわり畑の黄色が鮮やかで鮮やかで。

 でも鮮やかなのにどこかさびしいのは、トラキムブロドという名の村で起きた惨劇によって流れた血と亡くなった村人の想いによって作られた黄色だからなのでしょうね。

 村人達の遺品がひまわりの下に(実際には埋まっていないのですが)埋まっているかのようなイメージを受けました。

 

 前半の明るいテンションをもっと維持してくれても・・・と思ったら、DVDの未公開シーンにはハイテンションなシーンが沢山入っていました。サミーディヴスJrJrも本編よりも活躍していました。サミーディヴスJrJrは凶暴な面を持ったキャラクターですが、実際のワンちゃんはとてもお利口で頑張って演技しているのが伝わって来ました。

 一つ一つの未公開シーンは面白いのですが、全部採用すると長くなるし、作品の雰囲気も変わってしまいそうです。この辺りの塩梅は難しいのでしょうね。

 

 

B001ALQX4U 僕の大事なコレクション 特別版
リーブ・シュライバー
ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-07-09

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押井犬はバセットハウンド好き―「イノンセス」

 少し前の話になりますが、朝の情報番組スッキリ!!にて放映されていた*「スッキリ・クロラ」に出てくる押井監督の顔を模した、ワンちゃんを押井犬と呼んで勝手に喜んでいました。かわいくないとか。本人に似ているけど髪は多いとか。悪口では有りませんよ。私は押井犬のことをとても気に入っています。 

 そんな訳で今まで押井作品に触れたことがなかったので、いい機会だと映画「イノンセス」を見ました。

 

*映画「スカイ・クロラ」の登場人物とスッキリ!!の出演者が登場する1分間のアニメーション

 現在(8月21日)も第二日本テレビで閲覧可能(http://www.dai2ntv.jp/p/z/131z/)

 

 あくまで私の主観ですが、力の入った映像でしたが圧倒まではされず、脳を機械化して人々が膨大な情報を共有し、体の一部を機械化することによって自分と他人の区別がつかなくなる 「この体、この脳は誰のもの?自分と他人との違いってなに?」という問題定義は興味深いし、自分と他人との区別がつきにいく状況下において自我を保つ為にイノセンスなものを求める行為(主人公バトーにとってはバセットハウンドと手が届かない遠くにいってしまった、もしくは気づかない程近くにいる少佐)こそが自分らしさだという帰結もうなずけるのですが、どこか物語にひきつけられない。

 退屈とまでは行かないにしても引き込まれない。後で見たパトレーバー2の方が物語としてのパワーを感じました。

 コアなファンからすると読み込みが足りないのかもしれませんが、個人的な感想ですのご容赦を。

 ハードボイルドで謎めいたセリフやアクションシーンはハリウッド映画を思わせるので、これらにオリエンタル風味を加えているのが海外受けする秘訣でしょうか。

 

 でも素早い展開のアクションシーンや壮大な都市を描くシーンよりも私の目を引いた映像はバトーの飼うバセットハウンドの食事シーンです。

 食事を与えると、早速食器に顔を突っ込むのですが長い耳まで食器の中にするとバトーが優しく耳を取り出してあげます。クールでタフなバトーが心優しい人間であることが一瞬で分かるシーンです。

 一瞬にして多くの情報を伝えるのが作り手の技であり、それを見抜くのが受け手の醍醐味ではないでしょうか?

 このシーンには、食いつきのいいワンちゃんを飼ったことのある方ならお馴染みの勢い余って食器を押しながら食べ続けるというオマケまでついてきます。監督はバセットハウンドを飼っているそうですがバトーの優しさ共に監督のワンちゃんに対する愛情と観察の深さが分かるシーンですね。

  

イノセンスを見て、監督本人に興味が湧いてきたので他の作品も機会があれば見てみようかなと思っています。

 

 

B0000APYMZ イノセンス スタンダード版
押井守, 大塚明夫, 田中敦子, 山寺宏一
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2004-09-15

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たとえ現実逃避だとしても―「子猫をお願い」

 作品に触れる年齢や環境によって感想を変わってくるものですが、いつ見ても青春時代を描く作品には、感情を揺さぶられます。韓国映画「子猫をお願い」もそんな作品でした。

 

 〔あらすじ〕 高校時代からの仲良し5人組。高校を卒業してからは別々の進路を歩む中で友情関係にひびが。それぞれの思いを胸に社会へ出て行こうとする女の子達の青春群像劇。

 

 画面はモヤがかかっているようで、たんたんとぼんやりとした印象を受けます。BGMもそんな印象。

 この映画全体から流れる地に足がついてないような空気感が5人組の未来に対する漠然とした不安な心境をよく表していました。

 

 女の子達の平凡な日常を追っていくだけの話ですが、あきさせないのは女の子達のキャスティングの良さ。

 特に主演のペ・ドゥナは「不満は有るけどその不満が何かわからないし、具体的にしたいことはないけど自由ではいたい。」 そんな、ある意味身勝手な気持ちをショートカットに痩せぎすの体全身で表現していました。それぞれのキャラクターの役割分担がはっきりとしていたので演じやすかったのかもしれません。

  女の子達の内面をあっさりと描写していながら書き漏らしはしない監督の上手さも飽きがこない要因。若い女性監督なので心情的に登場人物と似た部分もあるのかも。実際、監督は周りの友人達をみてこの映画を撮ろうと思いたったそうです。

 

 当時は斬新だったかもしれない携帯電話を多用した表現が今となっては古臭いのはご愛嬌でしょう。ケイタイは子猫よりも大活躍でした。

 

 ラストで主人公は友達一人を連れて海外へと旅立ちます。目的もどこへ行くのかもはっきりとしないまま。はっきりしないのが如何にもこの映画らしいですね。ただの海外旅行に終わって時間とお金を浪費して韓国に帰ってきてしまいそうな気もします。

 仮に海外に行くことが現実逃避に終わったとしても彼女達が悩み、苦しんで状況を変える為に一歩を踏み出したのは事実です。

 真っ暗な何処かへ踏み下ろした一歩が前に進んだのか、ただの足踏みに終わったのか、それとも後ろへ下がったのかは誰にもわからないのだから。

 

 

B0006OFLKY 子猫をお願い
チョン・ジェウン
ポニーキャニオン 2005-01-19

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